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自衛隊のことを調べてみたら日本の組織の強みと弱みが分かってしまった件③

 俗物太郎です。

 

さてそれでは自衛隊の組織について見てみましょう。知っている人も多いとは思いますが、自衛隊内閣総理大臣をトップに、防衛大臣と続き、その下に統合幕僚監部、および陸上/海上/航空自衛隊が並んでいます。また、行政面で防衛大臣をサポートするため、防衛省の内部部局も並んでいます。

 

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自衛隊組織図(防衛省HPより)

次にアメリカ軍の組織図を見てみましょう。組織図では、国防長官(Secretary of Defense)が一番上になっていますが、トップはアメリカ大統領です。国防長官の元には、統合参謀本部Joint Chiefs of Staff)、陸海空軍が並んでいます。また、アメリカ国防長官府(Office of the Secretary of Defense)が自衛隊組織図中の内部部局のように並んでいます。

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アメリカ軍 組織図(国防総省Wikipediaより)


二つの組織図を見て分かるように、自衛隊もアメリカ軍も組織としてはほとんど同じです。それもそのはずで、自衛隊設立時にアメリカ軍が関わっているために、似たような組織になるのは当然です(世界の軍組織もだいたい同じ)。

 

そのため、組織図だけを見ても、自衛隊という組織の特徴はあぶり出されません。

僕は組織論の専門家ではありませんが、組織の特徴を見るためには少なくとも下記2つの要素は知っておく必要があるでしょう。

 

組織の構成員

組織のもつ考え/理念

 

自衛隊の構成員は日本人ということで、ここに異論はないでしょう(ここについて詳しくは後述します)。では、自衛隊という組織がもつ考え/理念はどうでしょうか。

これについても、自衛隊という組織を国防軍と考えた場合、その考え/理念は、日本の国土と国民を守ることに他なりません。これは、他の国も同様です。そのため、考えを取り上げても、自衛隊固有の特徴は出てきません。

(日米安全保障体制を取っているという特徴はありますが、日米安保のややこしい話に入っていく気はないのと、日米安全保障体制というのはあくまで作戦行動上のオペレーションの話として捉えられるため、自衛隊という組織自体の特徴へは影響を与えないものとみなし、ここでは取り上げません)。

 

では、自衛隊という組織をもう少し層別し、陸上/海上/航空自衛隊に分け、それぞれがもつ考えをまとめることで、自衛隊という組織の特徴をあぶり出してみるのはどうでしょうか。

確かにそういうやり方もありますが、それでは残念ながら自衛隊という組織の表面しか見ることができません。

どういうことかというと、自衛隊は設立から約70年程経っていますが、その間、日本は戦争を経験していません(専門用語で言うと防衛出動が発令される事態)。もちろん、全く何もなかったわけではなく、国連平和維持活動(PKO)への参画や、災害時の救援、または復興支援などの非常時対応はあります。しかし、参加したのは自衛隊の一部であるため、自衛隊を総動員するような非常事態ではありません。

つまり、約70年間 平時の状態であったとでいうことです。

 

では、どうやって自衛隊という組織の特徴をあぶり出すか。

人についてよく言われることですが、非常事態にその人の本性が現れます。

自衛隊も人の集合体である組織であり、非常事態、つまり戦争状態になればその特徴があぶり出されるはずです。

ただし、先ほど述べたように自衛隊は70年間、戦争を経験していません。そこで、過去へ遡り、太平洋戦争時の旧日本軍から、組織の特徴をあぶり出し、それを自衛隊という組織へ敷衍することで、自衛隊という組織の特徴をあぶり出したいと思います。

 

ここで、旧日本軍の特徴を自衛隊のもつ組織の特徴と考えてよいかということが問題になります。当然、時代背景が違うため、まったくイコールで考えることはできません。しかし、ある程度の傾向はとらえられるのではないかと思います。

 

なぜかというと、自衛隊前身の警察予備隊設立時に旧日本軍の軍人もかかわっているからです。兵器を扱う近代的な軍隊の様相を呈する組織を作るとなれば、たとえ旧日本軍が日本を壊滅的な状況へと導いた元凶だとしても、すぐ目の前にお手本があるのに、参考にしない手はありません。というか完全にズブの素人集団で組織運営や兵器の運用をするには無理があります。上記のような経緯から、自衛隊には旧日本軍の組織としての特徴の名残が100%ではないにせよ、反映されているはずです。

 

では太平洋戦争という非常事態における、旧日本軍の組織の特徴をあぶり出していきたいと思います。

 

(次回へつづく)