意識高男と俗物太郎、ときどき苦界生(いきる)が行く

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自衛隊のことを調べてみたら日本の組織の強みと弱みが分かってしまった件⑦

俗物太郎です。

 

ガダルカナル作戦

 

ガダルカナル作戦の失敗はミッドウェー作戦と並び、太平洋戦争における日本のターニングポイントです。海戦のターンニングポイントをミッドウェー作戦とするならば、陸戦のターニングポイントがガダルカナル作戦になります。

 

ではガダルカナル作戦とはどんな作戦だったか。

真珠湾攻撃の成功によって勢い付いた日本海軍は日本の南のオーストラリアへの侵攻も考えました。その際、航空機の補給などを行う中間地点が必要であり、その目的で陸軍の力をかり、ガダルカナル島に空港を建設しようとしていました。

一方、米国海軍は戦争の最終的な目的を日本の本土侵攻に定めたため、その足がかりとして、日本に続く島々の1つであり、日本が空港を建設しようとしてたガダルカナル島を陥落させることが重要だと考えていました。

しかし、日本軍は米軍のガダルカナル侵攻を戦争終結に向けた足がかりだとは思わず、偵察程度に捉えていました。その為、日本軍が集めた兵力は約2,000人程で、その兵力で奪還しようしたのがガダルカナル作戦です(正しくいうと2,000人で攻略しようとしたあとに、2回兵力を大幅に増員した上で総攻撃を行なっており、それらも含んだ敗北をガダルカナル作戦と呼んでおります)。

実際、その時ガダルカナル島にいた米軍は日本の兵力の約6倍の13,000人でした。そのため、日本の第一陣はその圧倒的な戦力差でやられてしまいます。

またこの時米軍は、日本軍に対する新たな戦法として、水陸両用作戦というものを開発していました。それに対する日本軍の島における戦法は従来通りの白兵戦を主体としたものでした。

このため、日本軍は第2陣を投入しようにも上陸前に米軍の航空機から攻撃を受け、重火器や食料の大半を失ってしまいました。

なんとか上陸できた第2陣も米軍に対しては、少ない重火器に、白兵戦をベースとした戦法だったため、これも一方的にやられてしまいます。しかも、一気に攻め込むのではなく、これは連携が困難だったこともありますが、部隊毎の攻撃になってしまったため、戦力が集中せず、敵にとっては攻めやすい状態になってしまいました。このことがよく戦いの中で悪手の事例として言われる、戦力の逐次投入です。

 

ガダルカナル作戦が失敗した要因は、主に下記3つになります。

 

・戦略グランドデザインの欠如と作戦の成否は実働部隊任せ(どうしたいのかがない)

・事実の軽視による戦闘フィードバックがなされていない(どうなっているか分からない)

・陸海軍の縦割りの組織体制によるリソーセスの活用不足(力を活かしきれていない)

 

1つ目は上述したように、米軍がガダルカナル島を足がかりに、ゆくゆくは日本で本土決戦をしようと考えていたのに対し、日本はそもそも海軍と陸軍で目指す方向が異なっておりました。

陸軍は中国を完全に侵略し、大陸において確固たる拠点を築くことを目指しており、一方海軍は艦隊決戦における米軍の各個撃破していくことを目指していました。

そのため、このガダルカナル島での飛行場奪還について、日本軍はさしたる重要性を感じておらず、場当たり的な対応になり、先述した戦力の逐次投入が行われてしまいました。

また作戦についても十分に練られないまま現場の指揮官任せになっていました。

 

2つ目は、米軍の水陸両用作戦という新たな戦法により、米軍が島々を1つずつ攻略しながら、日本本土に近づいて来ているのに対し、日本はその変化にも気付かず、対応ができていませんでした。

さらに作戦司令部も現地で起きている悲惨な状況を見ようとしなかったため、圧倒的に劣勢な状況にもかかわらず、現場からのフィードバックが十分になされず、歩兵による攻撃をズルズルと続けていました。

 

3つ目は、そもそも米軍が統合作戦本部によって陸海軍を連携させながら作戦を作っていったのに対し、日本は統合作戦本部にあたるものがなかったため、陸軍、海軍の意見がまとまることがなく、それぞれがそれぞれの思惑によって戦争を行なっていました。

そのため、ガダルカナル作戦においては、例えば補給の観点でいうと、艦艇による補給物資運搬はなされたものの、他の艦による護衛はほとんどなく、あったとしても連続飛行距離ギリギリの超超遠距離からやってきている零戦に頼っていました(実際零戦ガダルカナル島上空で戦えていたのは15分程だったようです。余談ですが小説の「永遠の0」でもこの事は言及されていました)。

このような点からも陸海軍が十分に連携できていませんでした。

 

上記3つを合わせると、ガダルカナル作戦において、日本軍はどうしたいかというグランドデザインがなく、なにがおきているかも分からず、力も十分に活かしきれていなかったため、負けるべくして負けてしまったと言えます。

 

ガダルカナル作戦以降は、皆さんもご存知のように、アメリカ軍は島々を次々に制覇しながら日本に近づき、最終的には沖縄に上陸することになります。

 

次回は⑤レイテ海戦について説明したいと思います。