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深夜アニメはキモい なぜいつまでも市民権を得られないのか ⑩

俗物太郎です。

 

前回、日本のアニメ界は、力量のあるプロデューサー、監督がおらず、両者のシナジーを駆動力とする制作会社もないという、ないない尽くしの状況であると説明しました。


ここで、一つの洞察として、適切な例かはともかく、太平洋戦争におけるアメリカと日本の戦争に対する考え方と対応が、アニメなどのコンテンツ業界に表れていることを挙げたいと思います。

どういうことかというと、アメリカは戦争は人に頼るのではなく、システム全体で構造的に捉えるものであり、圧倒的な生産力を背景に、当時有効な戦術だった空母を起点とする航空戦に力を入れていました。

一方、日本は生産力がなかったため、個々の指揮官や、戦闘機乗りや、それを整備する整備士などの人の能力や職人技に頼り、それらの人々を「八紘一宇」「一億総火の玉」という作戦というよりは精神論でまとめ上げていました。

もう少し抽象的にいうと、「構造的に勝ちを取りに行くアメリカ」と、「精神論と職人技の総体で勝てる筈だと思って勝負をする日本」という対比構造が表れます。 

 

この構図は、アニメを始めとしたコンテンツ業界だけではなく、アメリカと日本を比べる時の切り口として、いろいろな場面で応用できると思います。

 

話が飛んでしまいました。そんな、ないない尽くしの日本のアニメ業界ですが、これから、大きなビックウェーブがやってくると僕は考えています。


それは2つあります。
1つは、Netflixなどのインターネット動画配信サイトの台頭。もう1つは、日本のアニメを見て育った、海外の新たな世代の台頭です。

1つ目について説明します。Netflixなどの動画配信サイトは月額の課金制であり、この資金を使って独自のコンテンツを制作し始めています。それによって、現在主流であの製作委員会方式のような、コンテンツの権利が分散することもなく、独占することができます(アニメとは全く関係ないですが、DMMの独占配信作品をのようなものです)。

この豊富な資金は、制作費で苦労している制作会社にとっても嬉しいものであるため、今後の流れはネット配信サイトにシフトしていくのではないかと考えられます。Netflixなどの動画配信サイトは日本のアニメ界にとって黒船のような存在かもしれません。

 

もう1つは、日本のアニメを見て育った海外世代の台頭です。台頭してくるには理由があります。

以前説明したように、現在多くのアニメ作品が、労働集約的な動画制作の部分を、低賃金なアジアの国へ委託しています。これによって海外のアニメ制作会社の技術のレベルが自然に上がっていきます。さらに、テクノロジーの進化により、これまでセル画アニメの制作現場にあった、職人の世界のような、技術は盗めという世界から、技術は学んで行くものという世界に移行しています。


アニメ制作技術が盗むものから学ぶものに変わったことで、どの国でもコツコツと技術を積み上げていくことができるようになり、セル画の職人技を大量に蓄積している、日本のアニメ制作会社の優位性は相対的に低下していきます(もちろん、これまでのノウハウの蓄積があるので、優位であることに変わりありませんが)。ざっくり言うと、どの国でも、自国でコツコツと技術を学んで行けば、それなりのアニメが作れる時代になったということです。


そういった状況で技術を蓄積し、かつ、日本のようにアニメ界の偉大な先人のしがらみを受けることもない、例えば中国や韓国などから、とんでもない逸材が大傑作を産む可能性は十分にありえます(電気業界で、サムスン半導体で日本のシェアを覆したように)。

 

また、上記の新しい世代が1つ目のNetflixなどの黒船とタッグを組んだら、ビックウェーブはさらに大津波となって、日本のアニメ界を完全に飲み込んでしまうかもしれません。


ないない尽くしの日本のアニメ界は、知らない間に危機的な状況に立ってしまっているのです。


ただし、それだけのビックウェーブがくるということは、日本のアニメ界にとって、さらなる発展のチャンスとも言えます。

突き放して見ると、一視聴者にとって、アニメをどこの国が作ろうが作品として面白ければ、それで十分です。とはいうものの、アニメは日本が持つ世界に誇れるコンテンツであるため、本家本元として、この変革を受け止め、さらなる発展を期待してしまうのが人情です。


当初のタイトルから、大きく逸脱した内容になりましたが、僕自身、今は全くアニメを観なくなってしまったものの、かつてどハマりしていた身として、日本のアニメがこのまま黒船に飲み込まれないか不安です。

一方、今後の大きな変革によって観たいと思うアニメが出て、かつてのハマっていた頃に引きもどされるのも、それはそれで良いかという期待もあります。

そんな不安と期待が入り混じるこれからのアニメ界の動向を、横目で見るだけでなく、しっかりと正面から見ていきたいと思います。

 

以上で今回のテーマを終わります。