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深夜アニメはキモい なぜいつまでも市民権を得られないのか ⑧

俗物太郎です。

 

⒋キモくなくなるには何が必要なのか?

 

前回、どんなアニメがキモくないのか?の説明として、「君の名は。」と「ジブリ映画」を事例に挙げ、以下の2点が重要であることを述べました。

 

①統一した世界観を世間に対して訴求できるプロデュース力

②キモいキモくないなどの既存の価値観を突き抜ける、監督のアニメに対する情念を超えた怨念

 

上記はどちらか1つでもあれば、キモくないアニメは成立します。さらに、2つ合わされば後世に残る偉大な作品になります。

 

さて、ここで作品がキモくなくなるには何が必要かという観点で、もう1つ事例を紹介したいと思います。アニメではありませんが、アニメに近いものです。それは何かというと、世界でヒット作を連発しているマーベル映画です。

 

マーベル作品について、特に説明の必要はないかもしれませんが、「アベンジャーズ」や「アイアンマン」、「インクレディブル・ハルク」、「キャプテン・アメリカ」など、どれか1つくらいは名前を聞いたことがあると思います。

マーベル作品はもともとアメコミという2次元の作品が原作であるため、アニメ作品とは近い立ち位置にいると言えます。

 

マーベル映画は、09年にディズニーに買収された後、アベンジャーズの世界的大ヒットを皮切りに、大ヒット作を連発しています。

どれくらいかというと、アベンジャーズの興行収入は15億ドル(約1,600億円)で世界歴代5位の興行収入です。以降、「アベンジャーズ  エイジ・オブ・ウルトロン」(14億ドル 約1,500億円)、「アイアンマン3」(12億ドル 約1,300億円)、「シビル・ウォー キャプテン・アメリカ」(11億ドル 約1,200億円)と、世界歴代興行収入ランキングTOP20入る大ヒット作品を世に出しています。

 

ちなみに、日本映画の歴代興行収入1位である「千と千尋の神隠し」の興行収入が、約300億円ですから、アベンジャーズはその5倍も稼いでいることになります。これは日本だけでどんなに大ヒットしても絶対に追いつけないという、とんでもない数字だということが分かると思います。

 

では、キモくないアニメに必要な要素として、マーベル作品は一体何を持っているのでしょうか?

それは下記です。

・プロデューサーのケヴィン・ファイギ氏(マーベル・スタジオ製作社長)が作品同士の世界観の統一性に目を光らせている

・個性的な監督が、その作品にとって最も面白くなるようなアイデアを盛り込んで製作する

 

1つ目は何を意味するかというと、マーベルの作品にはアイアンマンを始め、さまざまなヒーローが登場します。これらのヒーローはアベンジャーズで皆が一堂に会したように、同じ世界に生きています。

これらのヒーローが自身の作品で活躍し、かつ他のヒーローが登場する作品のストーリーとも大きな齟齬が生まれないよう、ケヴィン・ファイギ氏が作品の横並びで目を光らせ、世界観を含めて統一感を保っているのです。

 

2つ目については、例えばあるヒーローをテーマにした作品の続編を作る場合、前回のストーリーとの連続性を保って続編を作るのはもちろんですが、そこでさらなる続編のことも考え、無難な作品にすることなく、作品を一番面白くなるための大胆な変更も許容することを意味します(例: 主要キャラクターに起こる大きな変化など)。大胆な変更があると、次回作を作る監督はそれに縛られて製作に苦労することになりますが、それよりマーベルは今ある作品の面白さを最優先します。

 

そのような前作の縛りを乗り越えて面白い作品を作るため、強烈な個性を持った監督を起用し、見事縛りを乗り越えることで、多くの続編作品のもつ陥穽にはまることなく、続編でのさらなるヒットを実現させているのだと思います。

このように作品を横断した世界観の統一と、前作の縛りを乗り越えていく個性的な監督の登用によって、マーベル作品はヒーローの数だけ面白い作品を世に出し、ヒットを連発していると考えます。

 

そして、上記はまさに、冒頭に述べたキモくないアニメに必要な2つの重要な要素(下記)とも共通しています。

①統一した世界観を世間に対して訴求できるプロデュース力
②キモいキモくないなどの既存の価値観を突き抜ける、監督のアニメに対する情念を超えた怨念

 

日本のアニメ作品にとって、マーベル作品のヒットは大いに学ぶところがあります。

 

ちなみにアメコミでマーベルと肩を並べるもう1つのレーベルである、

DCコミックスも、マーベルのヒットにならってなのか、アベンジャーズのような同一の世界観でヒーローが共演する「ジャスティス・リーグ」(2017年11月公開予定)を製作しています。

 

(次回へつづく)