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深夜アニメはキモい なぜいつまでも市民権を得られないのか③

俗物太郎です。

では、続いて、アニメーション制作の過程について説明していきたいと思います。
先回、アニメーション制作工程は大きく分けて下記の3つに分かれると説明しました。

②プロダクション
③ポストプロダクション

それぞれ簡単に説明していきます。
(詳しく知りたい方は、ネットでいろいろ説明しているページがありますので、そちらを参照ください)

プリプロダクションとは、企画や設定、絵コンテなど、実際の制作に入る前段階の準備的な作業のことを言います。

②プロダクション
プロダクションは、これがまさに、静止画を動画にしてアニメーションを作る工程になります。レイアウト、原画、動画、トレス、彩色、検査・特殊効果、撮影の工程が入ります。並行して、背景作製の工程も進められます。

③ポストプロダクション
ポストプロダクションとは、編集や音響などの後工程ことを言います。
セリフを録音するアフレコなどもこの工程に含まれます。

さて、アニメーションの制作工程がざっくり分かったところで、アニメーション制作にどんな人たちが関わっているのかも説明したいと思います。
30分のアニメーションを1本作るには、約150〜250人が関わっています(アニメーション映画の場合は約250〜350人)。
この中で、主要な役割を果たす人は大きく分けて以下の3者です。

■プロデューサー
■監督
■アニメーター

■プロデューサー
プロデューサーは、アニメ作品制作の全体に責任を負い、資金集め、予算の管理、テレビ局や広告代理店など制作プロセスに関わる企業との交渉やコーディネートを行います。
(アニメ制作のプロセスを現場でコーディネートする人も「プロデューサー」、または、「ラインプロデューサー」と呼ばれ、時間を管理し、制作の関わる多くのチーム間の調整を行ったりします)

TVアニメシリーズの場合、4〜6のエピソードが同時進行で制作されるため、時間とプロセス管理、さらに予算の面でかなり厳しい制約を受けます。そのような厳しい制約条件の下、創作物であるアニメを作るためには、クリエイティブな部分も維持しなければならないため、経験を積んだ有能なプロデューサーは、慢性的に不足しています。
ちなみに、プロデューサーは、制作会社に所属している場合もあれば、映画の配給会社に所属している場合もあります。


■監督
監督はアニメの創作に責任を負っています。脚本を絵コンテに変換し、イメージを視覚化することが、監督の重要な仕事です。通常、独立して仕事をしており、アニメ制作会社と数年間の専属契約を結びます。また、アニメ制作には多数のスタッフが関わっており、工程も多いため、監督は全てのスタッフの作業に、目を光らすことはできません。
そのため、作品のクオリティに関わる要所要所で登場します(絵コンテを使った作画打合せや、編集、アフレコなど。プロデューサーも一緒の場合も多い)。

■アニメーター
アニメーターは、監督から指示を受けた原画スーパーバイザーと言われる人の管理の下、動画と原画を作成します。制作会社に雇用されている人もいれば、フリーの人もいます。アニメーターへの報酬は、たいてい出来高によって
決められ、通常 原画1枚あたり3,000〜4,000円、動画は1枚あたり160〜220円が相場のようです。未経験者はまず動画の作成からスタートしますので、だいたい1ヶ月最大で500枚くらいが限度であり、月収を単純計算すると、10万円程度です。アニメ制作会社の9割近くが東京都内に偏在しているため、家賃も高いはずで、仮に家賃が約8万円とすると、ほとんど生活が成り立たないことになります。思わず普段どうやって生活しているのか心配になってしまいます。
一般的に、動画の仕事は労働集約的です(他の制作プロセスが3〜10名の担当者が必要になるのに対し、動画は30〜40名が必要)。そのため、多くの場合、この動画のプロセスを人件費の安い、近隣のアジア諸国に発注されることが多いです。このことは、業界は違えど、製造業と似ているところがあります。

以上、アニメーションの制作工程と、それに関わる人について説明しました。30分のアニメ1本を作るのに、多くの人が労力をかけて作っていることが分かると思います。

特に実際 アニメを作る実作業を担うアニメーターは、少ない報酬で時間のプレッシャーに追われながら、楽でない作業をし続けているのですから、頭が下がります。アニメーターは、アニメという創作物に関わることに対する強い情熱がなければできない仕事だと思います。

これは単なる思いつきですが、アニメが日本で根付き、興隆を極めているのも、納期を守り、辛抱強く働くという日本人のメンタリティに下支えされている影響が大きいかもしれません。これが、欧米だとしたら、現場から「こんな少ない報酬でやってられるか!」となり、ストライキが頻発して、まともにアニメが放映できないかもしれません。

日本の深夜アニメは、様々な出資者の要望を聞き、同時並行で4〜6エピソードを予算、時間を遵守しながら進めるプロデューサーと、映像化によって娯楽作品を作り上げる監督と、少ない報酬で辛抱強く作業をし続けるアニメーターのチームプレーの賜物と言えます。

ではなぜ、このチームプレーの賜物である、深夜アニメ作品を僕がキモいと感じるのか?
前置きが長くなりましたが、次回から説明していきたいと思います。