地方国立大卒だけど「学歴」についての話題を終わらせてみようと思う⑦(最終回) ペーパーテストによる指標を使い続けることはナンセンス
意識高男です。
前回、日本において学歴が機能する前提として、日本の企業に競争力があり、好業績を保つことで、高収入が実現できていることが必要であると書いた。
それでは、現在の日本企業に競争力はあるのだろうか?僕はどんどんなくなってきていると思う。
象徴的なのは鴻海精密工業に買収されたシャープの件だ。かつては液晶TVや液晶パネルといえばシャープ、そしてそれを生産する亀山工場は世界の亀山などともてはやされていた。
それがどうだろう、液晶技術はもはやコモディティ化してしましい、低コストで生産できる韓国や中国メーカーとの価格競争に負け、液晶にとって代わるような技術もないため、かつての存在感は全くと言っていいほどなくなってしまった。
むしろ高橋社長以下、経営陣のお粗末さを世間に対し、垂れ流している印象が強い。
シャープも含め、かつての日本のお家芸であった低コスト高品質の電機業界は、韓国や中国メーカーに取って代わられてしまっている。
つまり、日本のこれまでの競争力の源泉であった、低コスト高品質は、技術がコモディティ化したとたんに、韓国や中国メーカーに負けてしまうということを意味する。
当然、韓国や中国メーカーの後には、現在の発展途上国が虎視眈々と目を光らせているはずである。
何が言いたいかというと、他社にまねされたら終わりなのである。
まねされたとたんに、一気に過当競争に陥り、血みどろの戦いに入ってしまう。そうならないためには、絶対にまねされない技術がベースとなる製品を造るか、まねをしようとすると経済的に相当の損失が出てしまうようなプロセスを経る製品を造るしかない。
つまり、競争力を維持するためには、他社にまねができず、かつ消費者がほしがるようなユニークな製品を造ること、これに尽きる。簡潔にいうと、他社との差別化である。
低コスト高品質での差別化はもはや難しい。韓国、中国メーカーがすぐに追いついてきてしまう。
低コスト高品質でのこれまでの競争から、他社にない新たな価値の創造の競争へ移行したのが、現在のビジネス環境の質的変化である。
さて、ビジネス環境が変化したことに対し、その環境変化に追従し、新たな価値を創造し続けている日本企業がどれだけいるだろうか。
どちらかというと一部上場企業より、ベンチャー企業、例えば、ミドリムシを量産化して食料やエネルギーにしようとしているユーグレナや、ロボットスーツを作成しているサイバーダインなどの方が、新たな価値を創造しているように思える。
いったい何故、一部上場企業の大企業よりもベンチャー企業の方が新しい価値の創造ができるのか?質問を変えると何故、大企業は新しい価値を創造しづらいのか?
ここでとうとうこれまで長々と書いてきた本議論も大詰めになってくるが、その答えこそ、大企業がペーパーテストで高得点が取れる高学歴の人たちの集まりだからである。
ペーパーテストの結果による選別が機能するのはまさに、ビジネス環境に正解がある場合、つまり既にある製品を低コスト高品質で造るために皆がグワーッと集中する場合においてである。
これこそメイドインジャパンが世界を席巻した、日本企業と日本人が得意としていた、一致団結してものづくりに励む姿そのものである。
そして、これが本議論の結論であるが、「ペーパーテストによる選別では質的な差別化ができない」ということである。
現在のビジネス環境が、いかに新しい価値を創造し、他社と差別化を図るために、そういう価値を生み出す人がこれからは必要となってくるのに、もっと安く、もっと高品質にというような、テストの点をあと5点、10点というように100点に近づけていくような考えはもう終わっているのである。
それよりは問題自体を創り、それに対し30点でも40点でもいいからとりあえず回答していく考え方の方が重要なのである。
そう考えるとペーパーテストの点数で学歴が決まっている今の日本において、学歴を語ることは、もう使えなくなった物差しで、新しいものを測ろうとしているようなものである。
なかなかうまい例えが思いつかないが、例えば戦国時代ならいざ知らず、今の世の中において剣術の腕前で人の優劣をつけている人はそうそういないだろう。
趣味でやるならまだしも、キャリアアップのために本気で剣道を習いだす人がいたら大分危ない人だと思うのではないだろうか。
他社もしくは、他者との差別化が必要なフェーズに移ったのに、ペーパーテストによる指標を使い続けることはナンセンスである。
これを持って学歴の話題を終わりとしたい。
もし、今後も学歴の話題が再開するとしたら、ペーパーテストによる評価以外のシステムが定着してからである(いったい何年後にそうなるのかは分からないが)。
というわけで、これからの世の中、ぐいぐい追いついてくるハングリーな人達に対して負けないためにも、僕も含め、皆さんも自分だけの価値を創れるようになりましょう!